Blog

柔道プチ留学インドネシア体験記 第3回「行って終わりじゃない、学びを最大化するための研修プログラム

 

柔道プチ留学体験記、最後のテーマは留学の事前事後に行う研修と、留学中毎日行われる振り返りの研修についてです!

ただ行って終わりじゃない、海外での学びを高めるための研修について、今回は紹介します!

※イベントページはこちら https://www.facebook.com/events/562919017233435/

 

%e3%82%aa%e3%83%b3%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%b3

■研修全体を通して大切にしていること

研修はオンラインのビデオ通話で行うものと、直接会って行うものの2種類があります。これらの研修全体を通して大事にしていることは、「言語化」です。自分の想い、目標、感じた事、見たものなど、丁寧に丁寧に自分の言葉で表現していくことで、自分の学びを自ら認識できるようになり、成長のスピードを上げていきます。

­

■事前研修

事前研修で扱うのは大きく3つ、(1)自分を知る(2)仲間を知る(3)目標を明確にする、です。

(1)自分を知る

今までどういう人生を歩んできたのか、どういう価値観を自分は持っているのか、なぜプチ留学に参加しようと決心したのかなど、あらためて自分を見直すことで自分の軸をはっきりさせます。軸をはっきりさせて意識づけをしっかり行うことで、価値のある海外経験へとつなげていきます。

インドネシアプチ留学の際には、自分の人生をグラフに描いて説明したり、自分のアイデンティティを書き出して説明してみたり、そしてそれらに他の人からフィードバックをもらったりしながら、自分を深く理解していきました。

(2)仲間を知る

プチ留学には全国から多様なメンバーが集まっているので、その仲間を知るということは非常に大切なことです。オンラインでの対話やワーク、そしてリアルの場で一緒に稽古をしたりして、仲間を知り、メンバーとしての絆を深めていきます。インドネシアプチ留学では、青山学院大学の柔道場をお借りして、稽古を一緒に行いました。

%e5%9b%b31

(3)目標を明確にする

自分を知り、仲間を知った上で、「プチ留学を通じてどんな成長を遂げたいか」という目標を、それぞれが明確にして共有します。この目標は、現地滞在中や日本帰国後に「自分は今どれくらい頑張れているのか」「自分はどれくらい頑張れたのか」を確認する指標にもなります。

<参加者体験記>

「この研修を通して感じたことは、大きく分けて二つです。一つは自分の事を見つめ直す大切さです。普段自分を見つめ直す機会はあまりありません。そして、いざ見つめ直してみると自分の事なのに分からない事もありました。多分この研修が無ければ自分を見つめ直す事も、自分の事が分からないと悩む事も無かったと思います。この研修はとても良い経験になりました。
二つ目は一緒に行く仲間の事を少しでも知れたことです。出発する日にはじめましてではなく、事前に知れることでどんな人なのか知れたし、どんなことを思いこのプチ留学に参加したのかなどといった事も知れました。」

■留学中に行う振り返りの研修

プチ留学で現地滞在中は、毎晩メンバー全員で集まり振り返りの研修を行いました。

この振り返りの研修では、海外にきて「何を見て」「何をして」「何を感じて」そして「何を学んだか」などを言葉にして共有していきます。

NGOの支援する学校を訪問した日の夜には、「幸せとはなんだろうか」という問いについてそれぞれが考えました。

また、それぞれが事前に設定した目標に対して、「どれくらい達成できているのか」「できていないならば、なぜできていないのか」「うまくいったなら、それはなぜうまくいったのか」そして「次はどうするのか」を考え、少しでも自分の成長につながるように課題解決を行いました。

%e6%8c%af%e3%82%8a%e8%bf%94%e3%82%8a

日々の学びを言葉にして共有し、そして次につなげていくことで、毎日確実に成長していきます。

■事後研修

事後研修では、(1)渡航前の自分と比べて、どう変化したかを言語化する(2)未来の自分達について考える、の2つを行いました。

(1)渡航前の自分と比べて、どう変化したかを言語化する

渡航前の事前研修で明らかにした「自分」が、インドネシアでのプチ留学を経験してどう変わったのかを、メンバーでお互いにコメントしながら探っていきます。渡航前との変化をしることで、プチ留学での経験が自分にどんな意味を持つのか理解します。

(2)未来の自分達について考える

事前研修・インドネシアでの経験を通じ、様々な学びがあり、そして自分自身の理解も深まりました。そのうえで、研修の最後には「○○年後にわたしはこうなっていたい」「その未来のために、こんな努力をする」の2つを宣言しました。プチ留学はゴールではなく、出発点であり、通過点です。それぞれがポジティブに未来に向かって宣言して、プチ留学を卒業していきました。

<参加者体験記>

「留学中はその日に学んだことをみんなで共有、確認することで自分とは違った考えもあり、知識が深まりました。事前研修で行ったプログラムと同じものを事後研修で行うことで、留学前と留学後で自分の考え方がどのように変わったかを知ることができ、この留学がとても有意義だったと改めて感じることが出来ました。」

以上、インドネシアでのプチ留学に関して、全3回のシリーズで投稿させていただきました。

2017年もプチ留学は実施予定です(3月末予定)。ご興味・ご関心ある方は、ぜひご連絡ください。一緒に冒険の旅に出かけられるのを、とても楽しみにしています。

また2016年11月15日(火)19:00から東京にて、インドネシア仙石先生に来ていただき、トークイベントを開催致します。こちらも振るってご参加ください。

柔道プチ留学インドネシア体験記 第2回「旅行では経験できない活動」

食事.jpg

シリーズ第1回に続き、第2回の投稿です。今回のテーマは、「旅行では経験できない活動」です。

※第1回の記事「柔道は言葉」はこちらhttps://adventurejudo.wordpress.com/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/

※イベントページはこちら https://www.facebook.com/events/562919017233435/

柔道プチ留学の根幹となる活動は、柔道を通じた交流です。そしてそれに加え、観光で旅行で行った時には経験できないような活動・交流・遊びの場も準備し、参加者が様々な学びを得られるようにプチ留学は設計されています。今回はそんな活動をいくつか取り上げて、ご紹介致します。

(1)NGO団体が支援する現地の学校訪問                           

NGOが支援する現地の学校を訪問させて頂きました。訪問時には、NGOスタッフの方からインドネシアの子どもたちの貧困の実態について説明を受け、支援の様子を見学させて頂きました。かなり衝撃的な話を聞き、貧困を目の前にして、言葉を失い涙を流す参加者もいました。

■NGO訪問後の参加者のコメント

「教科書にあることが、目の前で起きていて思わず涙が出てしまいました」

「しかし、なぜか現地の子供たちは、目をキラキラさせて、明るく、元気な姿で、自分が貧しいことなど気にしてないような様子で、私にご飯をあげようとしたり、パギーと挨拶するとみんなが手を振って、笑顔で返してくれるような子供たちばかりでした」

「自分にとっての一番の幸せとはなんなのだろう?と考えさせられました」

ngo

 

(2)道場の子ども達と一緒に海に遊びに行く

柔道を通じて友達になった道場の子ども達と、海にも遊びにいきました。インドネシアのさんさんと照らす太陽のもと、海をたっぷり楽しみました!

きれいな女性がビーチにいて、男子同士で顔を合わせてにやにやしていて、「男子が盛り上がるネタは世界共通なんだなぁ」と感じた瞬間でした。これも学びの一つですね?笑

 

(3)稽古を仕切ってみる

これは柔道での交流に通じるものですが、単に一緒に柔道の稽古をするだけではないので、このテーマ内で紹介いたします。

現地での稽古のうち1回を、日本からの参加者に仕切ってもらうという活動を行いました。インドネシアの子どもたちに対して、どんな稽古をしたらいいのかを参加者で話し合って考え、こんどはその稽古のやり方を、言葉が通じない中どうやって説明するか、ロールプレイをしながら何度も練習し、本番にのぞみました。人の前で場を仕切る経験や、伝えたい事を伝える難しさを再認識する経験をすることができました。

稽古の指揮.jpg

(4)インドネシアの文化に触れる

「バロン」というバリ島に伝わる伝統芸能を鑑賞しました。ただ鑑賞するだけでなく、仙石先生自ら翻訳・解説をしてくださり、参加者にとって貴重な体験をすることができました。また、現地の子ども達と一緒に食事をしたり、現地のスーパーマーケットに買い物に行ったり、生活体験を通じてインドネシアの文化に触れました。

■参加者体験記

「インドネシアと日本の文化の違いに驚きでした。食事は右手を使って食べ、もちろん箸やスプーンなどはありません。交通網もほとんど規則はなく、普通道路を100キロで走っても良いことや、小学生でも原付に乗っても良いこと、タバコ、お酒にも制限がないことなど、肌の色や言語はもちろん違いましたが、それ以上に文化の違いびっくりしました。」

%e3%83%90%e3%83%ad%e3%83%b3

プチ留学では、「プチ留学でしかできない活動」の場をたくさん用意して、参加者が少しでも成長できるよう、プログラムをつくっています。

東京で、仙石先生にゲストにとしてお越し頂いてプチカフェを開催するのは11月15日(火)19:00からです。 当日は、プチ留学に参加した学生も参加します。もっと詳しく話を聞いてみたい方、柔道やグローバル教育に興味のある方、プチカフェへの参加をお待ちしております。

 

 

 

柔道プチ留学インドネシア体験記 第1回「柔道は言葉」

【柔道プチ留学インドネシア体験記シリーズ~第1回「柔道は言葉」~】

11月15日(火)は、インドネシアから仙石先生をお招きして、東京にて

「なぜインドネシアに道場を作ったのか?日本人柔道指導者が切り開くグローバル教育」

を開催します。

※イベントページはこちら!
https://www.facebook.com/events/562919017233435/

そこで、2016年春に実施されたインドネシアでの柔道プチ留学の様子を数回のシリーズに
わけて、参加者の体験記とともにお送りいたします!
第1回のテーマは「柔道は言葉」です。

【柔道は言葉】

「言葉はまったくわからない。インドネシア語なんて聞いたことも見たこともない。向こうは日本語なんて全く知らない。それなのに一回練習すると、もう友達になっていました」
※高校生参加者の体験記より

実行委員会が目指しているのは、世界中の子ども達が柔道を通じて交流を深め、互いに切磋琢磨し、成長しあうことです。柔道を通じた現地の子ども達との交流は、プチ留学プログラムの「核」となる活動となります。

日本からの参加者も現地の子ども達も、お互いに言葉が通じない中で稽古が始まるのですが、最初はお互いに緊張した様子です。様子を探りあっているようで、なんだか変な緊張感も…

14925600_1187198718037265_4606410947158657926_n

しかしどうでしょう!一緒に身体を動かし始め、互いに柔道着を通じて触れ合いながら打ち込みや投げ込み、乱取りを行っていくと、しだいに笑顔が増え、自然と打ち解けていきます!
技のかけ方を一生懸命説明しようとしたり、休憩中に頑張って話しかけてみたり、投げたり投げられたりした後に「今のいい技だったね!」とジェスチャーで伝えてみたり、柔道を通じて、お互いを知ろう、仲良くなろうという光景がたくさん目に入ります。

 

ちょっと前までまったく見ず知らずで言葉を通じなかった人たちが、「柔道という言葉」を通じてほんの数時間一緒に過ごしただけで、自然と打ち解けあい、笑顔の絶えない「友達」になったのです!

このような「笑顔の絶えない稽古」、実は日本の道場ではあまり見れるものではありません。
日本の柔道は強くなることに特化しすぎる側面があり、他校や他道場と合同稽古をすると、終始ピリピリとした緊張感に包まれていることがほとんどです。

プチ留学での柔道交流が私たちに教えてくれることは、「柔道が持つコミュニケーションとしての可能性は、実ははかりしれない」ということです。
あえて言葉も文化も違う環境に飛び込むことで、コミュニケーションツールとしての柔道の可能性が浮き彫りになります。

14947399_1187198824703921_6733869166011298686_n

言葉なんかわからなくても、柔道着を通じて触れ合うだけで、友達になれちゃうのです。柔道家には、柔道をやっているという時点ですでに、世界中の人と友達になれる能力をもっているのです。

冒頭に紹介させていただいた参加者の体験記、

「言葉はまったくわからない。インドネシア語なんて聞いたことも見たこともない。向こうは日本語なんて全く知らない。それなのに一回練習すると、もう友達になっていました」

14937454_1187198688037268_662178743564401805_n

まさにこれは「柔道は言葉」ということを体現しているものです。
いや、もしかしたら柔道は言葉以上のものかもしれない。そんな可能性も、感じます。

15日は、インドネシア仙石道場の仙石先生とお話ができます。
柔道に未来の可能性を感じるかた、参加をお持ちしております

※イベントページはこちら!
https://www.facebook.com/events/562919017233435/

「2020年のその先の未来。わたしたちはオリンピックを通じて柔道に何を遺すのか?」全国8箇所ミニフォーラム

9月17・18日に順天堂大学さくらキャンパスにて開催されたフォーラムJUDO3.0。全国から50名以上の想いをもった人々が集いました。

改めて感じたことは、

「想いをもった人が集まって話をすると新しい何かが生まれる」

ということでした。

そこで、柔道の新しい可能性をさらにカタチにすべく、11月下旬、栃木、東京、静岡、名古屋、大阪、愛媛、広島の全国8箇所にて、想いをもった人々と語り合うミニフォーラムを開催いたします。

どなたでも参加できます!

お申し込みはこちらから。最新情報はフォーラムごとのリンクをご参照ください。

 

◼︎栃木県小山市

日時:11/14(月)19:30~

場所:小山市立生涯学習センター(栃木県小山市中央町3-7-1ロブレ6F)

https://www.facebook.com/events/185889911865622/

◼︎東京都

日時:11/15(火)19:30~

場所:都内(現在調整中)

ゲスト:仙石常雄氏(インドネシア・バリ島仙石道場主)

https://www.facebook.com/events/562919017233435/

◼︎静岡県静岡市

日時:11/16(水)19:30~

場所:静岡市民文化会館(静岡市葵区駿府町2番90号)

◼︎愛知県名古屋市

日時:11/18(金)19:00~

場所:六郷道場(愛知県名古屋市南区泉楽通1丁目14)

https://www.facebook.com/events/722241774596788/

日時:11/19(土)10:00~

場所:名古屋市芸術創造センター(名古屋市東区葵一丁目3番27号)

https://www.facebook.com/events/953534544753099/

◼︎大阪府大阪市

日時:11/20(日)18:00~

場所:大阪市中央公会堂(大阪市北区中之島1丁目1番27号)

https://www.facebook.com/events/676008515896843/

◼︎愛媛県四国中央市

日時:11/21(月)19:30~

場所:妻鳥公民館(愛媛県四国中央市妻鳥町1480-2)

ゲスト:長井敏秀氏(ユニバーサル柔道アカデミー代表)

https://www.facebook.com/events/579979042194460/

◼︎広島県広島市

日時:11/23(水)14:00~

場所:広島市青少年センター(広島県広島市中区基町5番61号)

https://www.facebook.com/events/147884895679535/

お申し込みはこちらから。最新情報はフォーラムごとのリンクをご参照ください。

※ イベント一覧
https://www.facebook.com/adventurejudo/events/

レガシーと素敵な人

10/22(金) 六本木で開催された、「次世代リーダーが集い、共に語り、新しいアイデアを共に創り上げる場」、次世代共創シンポジウムに参加。http://www.etic.or.jp/wfsc/  何らかの想いをもち、そして「行動」をする人々の集まりだから熱気がある。接すると元気をいただける
 
オリンピックのイベント「スポーツ・文化・ワールドフォーラム」の中の一つのプログラムで、海外で活動されている方も参加され、オリンピックを契機にどのような「ソーシャルチェンジ」を起こせるか、ということを話し合う。行動されている方々だから意見がたくさんあり、ワークショップが盛り上がる。
 
オリンピックは「スポーツの祭典」のほか「文化の祭典」ということで、オリンピックを通じて社会をどうよくするか、どんな「レガシー」(遺産)を残すのか、ということが話し合われている。この場にきて実感。普段は「スポーツの祭典」なので、いくつメダルがとれるか、に注目が集まるが。
 
では柔道はオリンピックを通じてどんな「レガシー」(遺産)を遺すのだろうか?どのようなソーシャルチェンジを起こすのだろうか?
改めて思うが、この問いを問いかけること、これが大事だ。
そもそもこの問いを心にもたないと、レガシーは生まれない。
どうやったらこの問いを共有できるだろうか?
 
フォーラムでは「海を渡って柔道をしたら世界が変わった」実行委員会の構想を話した。2020年、1カ国50人、約200カ国から合計10,000人のこれからを担う若き柔道家を、日本の柔道クラブで「おもてなし」をする。
では、これが実現できたら、レガシー(遺産)として何が残るか?
 
地域のクラブが世界とつながる。
地域で柔道をはじめたら世界どこでも柔道できる。
地域のクラブがグルーバルなネットワークを手中にし、グローバル教育機関に変貌するのである。
子供の親は「グローバルな時代だから、子供に英語と柔道をさせなきゃ」となる。
構想はそれだけにとどまらない。
 
世界のクラブを巡る、武者修行、これを教育プログラムの中核にした学校(高校)の設立だ。といっても「戦う」わけではない。文化、宗教などあらゆる属性を超えて、異なる人と「つながる」ことを中核とした教育。そんなことができるのか?と思うが、実はすでにアメリカで類似の学校ができている。
 
こんな構想をお話しさせていただいた。最後に。
参加者からこんな言葉をいただいた。
「いいプロジェクトだね。何を手伝ったらいい?」
自分が逆の立場で、何か面白い話を聞いたとして、こういう風にさらりといえるかなあと。素敵な人ってこういう人なんだ、とつくづく思う。
酒井
※上記はツイッターの連続ツイートのまとめです。

「なぜ発達障害のある子どもに柔道を教えるクラブを創ったのか?既存のクラブの限界と柔道の新しい可能性」ユニバーサル柔道アカデミー 長野敏秀さま(講演録)

こんにちは。昨日から多くの方に「期待しています。」という声をいただいており、ハードルが上がったなと感じております。緊張気味です。大前提として、ユニバーサル柔道クラブは始まって1年くらいです。もともとは私、既存の柔道会で指導者を務めており、いわゆる鉄板の教え方を中心にやっていました。まず、現在の柔道クラブを設立するに至った経緯を説明して、活動の紹介、そして成果的なものを紹介していこうと思います。今回のプレゼンテーションの題名は「柔道のユニバーサルデザイン化を目指して」です。

まず、自己紹介をさせていただきます。私はこう見えて43歳です。愛媛県の四国中央市出身で、柔道は小学校二年生から、地元の柔道会で始めました。いわゆる、「根性、根性」といったような教え方の道場でありました。中学、高校は地元の学校に進み、大学も愛媛県の松山大学に進学しました。ということで、柔道をするにあたっては愛媛県から全く出ていないということになります。大学を卒業した後、すぐに地元の四国中央市に戻りました。地元の柔道会で指導者として活動していましたが、平成27年にユニバーサル柔道アカデミーを設立しました。柔道関係では、愛媛県柔道協会の理事と強化育成委員を務めています。また、週末は松山大学柔道部のコーチも務めています。ちなみに、職業は市役所の職員です。そして妻と娘2人の4人家族であります。

私の原動力は、多くの方に共通しているかもしれませんが、今も昔も、おそらくこれからも、私を成長させてくれた柔道への恩返しです。これが私の大前提です。特に、大学時代に培った人間関係や、そこから学んだことが今に繋がっていると考えています。

これまでの活動の目標は、柔道を通じた子どもたちの健全育成と強い選手とチームの育成でした。強い選手を育成すれば、健全育成にもなるだろうと、この2つはイコールで繋がっているだろうと考えられていました。

がむしゃらに歩んだ20年間でした。今日お越しの先生方とも連携を取り、合同練習をさせていただいた機会もありました。また、優秀な選手にも恵まれました。

しかし、たとえ選手として優秀な成績を残してきた子でも、中にはその後の人生が幸せでない子もいる現状に気づきます。中学、高校で問題行動を起こして退学になったり、幼少時からの過度な練習によって選手生命が短くなったりしたことが反省点です。「柔道が嫌いで堪らなかった」という選手も中にはいて、ショックを受けました。

「柔道は人間教育」ということで、全柔連はこれを推進しています。では、自分の道場はどうだったのだろうともう一回振り返ります。

本当に自分の指導が子どもたちの健全育成につながっているのか?振り返ってみると

やはり強い選手を優先した練習になっていたことに気づきました。そして「勝つ」ことが良いこと、「負ける」ことが悪いことという指導をしていました。私を含めて、「勝ち」にしか価値を見出せない指導者が多かったことに反省をしました。そのような指導を行っていると、ある意味こぼれ落ちていく子どもたちが出てきます。特に、発達に凸凹のある子達にとっては非常に窮屈な環境であり、のびのびと柔道ができる場ではありませんでした。

そういったことに気づいているのに、何もできないことに私は違和感を常々感じていました。

勝つこと以外の価値はどこにあるのだろうと模索しました。既存の柔道会の中で改革を進めようとした時に、道場の歴史の長さとこれまでの成果が大きく立ちはだかりました。その壁に立ち向かい、改革を進める道もありましたが、その改革の労力は新たな活動に使っていくことに決めます。「組織のための自分」との決別です。

そのためにまず行ったことは。

「勝つこと」を一旦やめることです。これをまずキーワードとして取り組んでいこうと決めました。

その上で、私らしい柔道による社会貢献とは何かと考えた時に、生きにくさを感じている子どもたちに柔道ができる環境を与えることがそれなのかなと思いました。それと同時に、生きにくさを感じている子もそうでない子も一緒に柔道ができる環境を与えること、これを柔道のユニバーサルデザイン化としました。これを目指しました。

私が思いを発信した結果、趣旨に賛同し集まってくれた人たちがいました。嬉しかったのは、柔道以外の人たちがスタッフになってくれたことでした。幼児教育の専門家や手話を身につけている方など、たくさんの人がスタッフとして集まってくれました。

まずは、幼児低学年を中心に、毎週金曜日の週一回の練習をスタートさせました。これがスタートの時の写真です。ちなみに写真の中央左に写っているのは四国中央市のゆるキャラです。右側は子育てキャラクターのほっこりんです。

柔道が発達障害児の療育に有効であるという先行事例と報告があります。また、発達障害児の療育自体が、柔道にも有効であると考えました。

蓋を開けてみると、もちろん発達障害児の子どもさんだけ来てくださいとはアナウンスしていません。みんなで楽しく柔道をしましょうと言いました。しかし、実際には半分、もしくは半分以上の子どもたちが発達に何らかの凸凹を抱えていました。これによってこの取り組みの必要性と重要性を再認識いたしました。

この取り組みを柱にすることによってスタッフのほとんどが「発達障害コミュニケーション指導員資格」を取得しています。その中の数名が中級、上級を目指して現在勉強中です。

それでは、日頃の練習メニューを紹介させていただきます。これはストレッチと体幹トレーニングです。なぜ体幹トレーニングを大切にするのかというと、発達に凸凹のある子達の特徴として、ふにゃっとしていることが多いことが挙げられます。(体幹がしっかりしない)発達障害コミュニケーション指導員資格の勉強の中でも、体幹トレーニングが必要であることを言われました。実際にトレーニングするときは、段階的に、遊び心を交えて指導をしています。

次です。この取り組みはすごく特徴的だと思います。「学びタイム」です。嘉納治五郎先生の「問答の時間」に該当します。主に寸劇を取り入れながら展開しています。だいたい1日15分くらいやってます。日常の良い場面、悪い場面をスタッフが寸劇で表現します。子どもたちにはこの学びを通して良いことと悪いことの判断の力がアップして欲しいと思っています。また、コミュニケーション能力の向上にも役立つと思っています。まず、寸劇を交えると子どもたちが食いつきます。子どもたちに感想や考えを求める時も、「その意見は悪い」などと否定せず、なるべく許容することを念頭に指導しています。

もう一つはコーディネーション遊びです。これはアスリート育成のためにドイツで開発されたものです。これを子どもたちの年齢に合わせて易しくなるよう改良して取り組んでいます。ラダーやバランスディスクなど、様々な道具を用いて運動調整力、バランス能力を鍛えています。この遊びを通じて柔道だけではなく運動自体が好きな子を作るのが狙いです。

次が柔道です。柔道は基本動作を大切にしています。柔道の基本動作を子どもたちに覚えてもらうことを、私たちがいかにうまく伝えるかという勉強の場になっています。例えば、「右から」と言ってもよく理解できない子どもが多いのが現状です。そういう時は、色のついたシールやその他のアイテムを利用して、工夫をしながら指導をしています。そうすることで私たち指導員も成長しています。

次がマッサージタイムです。練習の最後10分から15分くらいをマッサージに当てています。マッサージは親子同士だったり友達同士でやることで、リラックスの効果もありますし、ある意味親子のコミュニケーションの場になったりもします。いい意味でだらっとする時間を作っています。これが家に帰ってもあったら良いなと考えています。

もう一つが道場以外の場所での取り組みです。月に一回の親子参加の特別講座です。ペン字、陶芸、特殊積み木、英会話、子育て、料理などなど、様々な講座を開いています。

パパママ面談タイムというものも取り入れています。だいたい1家庭が3ヶ月に1回程度回ってくるくらいの頻度で行っています。その内容は月一回のスタッフ会議で共有し、支援策の検討や練習メニューの工夫を話し合います。

現在はステップアップして活動を週二回にしています。基本的な動作は金曜日に実施。それとは別に一般愛好者、経験者を対象に、年齢がバラバラの集団の練習日を設定しています。

先日、ひのまるキッズという大会に参加しました。この大会では全国初の取り組みとして、礼法や寝技のしぼり動作なども団体戦の種目として採用されていました。発達障害のある子も一緒にメンバーとして参加し活躍することができました。それがみんなへの刺激となり、その後の取り組みに変化が生まれました。

成果としては、最初はあちこち走り回る子が多く、黙想は30秒も続きませんでした。しかし現在では、怒ることもなくほとんどの子が2分間の黙想をできるようになりました。これはすごい成果だと思います。

日々の取り組みは試行錯誤の連続です。それが私自身の学びの場として、指導力向上のために頑張っています。柔道の原点は精力善用、自他共栄による社会貢献です。

私ができる柔道による社会貢献は、柔道による社会問題克服に向けた活動です。それが柔道の価値の向上につながるのではないかと考えています。これを念頭に、活動を続けていきます。

<保護者コメント(お二人から)>

-柔道を始めたことによって動きがしっかりしてきた。大きい運動も柔道で行っている。去年は鉛筆が持てなく、紙に色がつくかつかないか、という状態だった。今はしっかりと鉛筆を持てている。ユニバーサル柔道アカデミーでの子育て等に関する様々な情報交換はとても役に立っている。ゆにじゅ〜に来ればホッとできる、そういう空間なのかなと思っている。現在、子どもが柔道を好きになり、柔道が楽しみになっている。「柔道だけは行かせてくれ!」といったような感じ。他の子も同じような感じだと思う。親もそれを暖かく見守れている。総じて、お互いがお互いを高めあっている良い環境であると思う。

-その子にとって「楽しく学べる」日であること、それが一週間の中で大事になってきていると感じている。ゆにじゅ〜の寸劇(学びタイム)で、自分の悪いところなどに気づけ始めている。例えば、うちの子は「柔道に行くよ」と言っても全く(柔道着に?)着替えようとせず、私は何度も怒っていた。しかし、今となっては「柔道に行くよ」と言ったら「お母さん、何時に着替えれば良い?今着替えた方が良い?」といったような言動と行動を起こすようになった。これは、すごい成果だと思っている。うちの子以外もそうだったが、ゆにじゅ〜創立当初は子ども達に全く落ち着きがなく、いろんなところに走って行ってしまって収拾がつかない状況だったが、今となっては先生の適切なスケジュール管理等のおかげで時間通りに並べる、挨拶できる等、規則正しい行動ができるようになってきた。これは素晴らしい。親ではできないと思うし、先生の指導の賜物だと思っている。